About L/Rネジ

Perfect controll of looseness.

L/Rネジは、左ねじのナットと右ねじのナットの双方を螺合可能な螺旋構造を持たない特殊な3次元構造のボルトフォルムのL/Rボルトに対し、右ねじナットと左ねじナットを螺合し、これらのナット同士をL/Rボルト上において機械的に結合させることにより、従来ねじの緩み止め原理である圧接摩擦力に全く依存せず、機械構造的に緩まない状態を作出することが可能な、締結方法が革新的に異なる「緩むことのないネジ」である。

再定義への挑戦。

目指すところ、それは「渾身(こんしん)の技術力に裏打ちされた重要保安製品を、世界中に遍(あまね)く普及させ、持続的かつ高度な安心安全を提供すること」。この趣意に基づき、NejiLawは、L/Rネジを主力製品とする高機能型高度接合技術メーカーとして、2009年に設立された。
ねじには、2000年を超える歴史がある。そのねじ構造の基本機能には、物の移動や動力伝達がある。この他、物と物を締結・接合するという機能がある。このねじ締結体としての応用は、今日もっとも広く普及している機械要素工業製品として確固たるものがある。このねじ締結体、すなわち、ねじには、当然緩まないことが求められる。
しかしながら、従来のねじは、その螺旋(らせん)構造ゆえにどうしても緩んでしまうという宿命を背負っている。そこで、NejiLawは、従来の雄ねじと雌ねじのねじ山同士の間に作用する摩擦力に依存する螺旋構造そのものを見直すべきとした。そして、螺旋構造を打ち破ったネジ締結体に関する最初の発明以来、我々は多年の試行錯誤と、発明に次ぐ発明、研究に継ぐ研究を重ねた。開発は、難航を極めた。当時、研究所と称するアパートの一室には旋盤(せんばん)さえなかった。その後も困難は続いた。やっとの思いで旋盤加工に辿り着くも、旋盤で造るL/Rネジは、刃物は削れ、ネジ山はボロボロになるだけだった。狙った形を造り出すなど遠い夢のようだった。
しかし、あきらめればそこで夢はついえる。だから開発チームにあきらめる者はなかった。そして、次々に顕れる難題を丁寧に、ひとつひとつ乗り越えた末、我々はついにひとつの完成形に至ったのである。それは、ねじ2000年の歴史を塗り替えるアイデア「L/Rネジ」を具現化した瞬間であった。それは、L/Rネジに関する最初の発明から20年近くが経ってのことである。
L/Rネジは、雌ねじ側の右螺旋構造と、左螺旋構造のいずれにも対応した、螺旋構造を持たない特殊な三次元構造のネジ山を造り込んで成る画期的な雄ネジと、これに対応する特殊な雌ネジとで構成される。この構造によって、L/Rネジは、摩擦力に全く依存せずに締結することを可能とした。その実現は、NejiLawのメンバー皆が、文字通り寝食を忘れて続けた研究開発の賜物である。

「ねじ」から「ネジ」へ。

L/Rネジの開発過程においては、幾多の困難を乗越えるため、製造にかかるあらゆるモノを独自に発明、開発してきた。製造方法から製造用工具、製造用工具を製作するための装置や検査機、はてはL/Rネジの品質検査手法、検査装置に至るまでがそれである。そして、ついに辿り着いたのは、L/Rネジの最適なネジ山断面形状が、従来とは全く異なるという結論だった。L/Rネジ山の最適な角度は、従来の「最適ねじ山角度=60°」という常識を根底から覆すものだった。70゜こそが最強であると結論付けられたのである。ここに示す自社内での強度評価は、「ネジ山の強度がより強くなるのはいかなる条件か」という問に対して、引張強度試験、引張疲労強度試験、ねじ締付け試験、ねじり疲労強度試験及び衝撃振動ねじ緩み試験など何百何千何万の仮説と検証を繰り返し行ってきた結果である。その結果は、所要条件を満たせばL/Rネジが従来ねじと同等以上の強度を有することを明確に立証するものであった。
L/Rネジの発明者である道脇裕は、NejiLaw創設の際、「先ずは、L/Rネジにおける統一規格の体系化を推し進める」という壮大な目標を掲げた。そして、NejiLawは、産業革命以降だけでも200年以上に亘る、その長き歴史の中で醸成されてきた「ねじ規格」に相当する規格体系、すなわち「L/Rネジ規格」の基礎を、構想からわずか7年で構築したのである。2009年の創業当時から、道脇はこの未知なる新たな規格体系の構築を目指した。新しく(New)、次なる時代の(Next)、ニッポン発の(from Nippon)、ネジの法則体系(Neji’s Law)というコンセプトから社名はNejiLaw、新たな規格体系はN規格と名付けた。これをこれからの千年に広めたいという願いを込めて、われわれは始動したのだ。


Movie

L/Rネジの基本構造
独自の三次元構造を持つ「L/Rボルト」には右ねじナットと左ねじナットのどちらも組み付けが可能。

L/Rネジ パーマネントロックタイプ
右ねじナットと左ねじナットの接合面に刻まれたラチェット構造によって緩むことの無い締結を実現。

L/Rネジ リムーバブルロックタイプ
自在に回転が可能なまま左右ねじナットが一体化、任意の位置で固定可能な上、取外しも可能。

Product Photos


  • L/Rネジ
    右ねじのナットと、左ねじのナットと、
    これら何れも螺合が可能なL/Rボルトとで構成される

  • L/Rネジ用ナット
    (写真上)シングルロックタイプ
    (写真中・下)パーマネントロックタイプ

  • L/Rクリップロック
    締結工具が不要、手作業のみで、
    しかも任意の位置で緩むことのない締結/解除が可能。

  • L/Rボルトの基本構造
    らせん構造を持たない1本のボルトボディに、
    右ねじと左ねじ、2種類のナットの螺合が可能。

  • L/Rネジの基本ロック原理
    ボルトに組み付けた2種のナットを機械構造的に結合、
    互いにぶつかり合うまたは引き合うことでロックされる。

About L/Rネジ

特殊三次元構造のネジ山を持つL/Rボルトと、目的に合わせた様々な仕様の専用ナットとの組み合わせにより締結。一度締めたら外せない、溶接・リベットからの脱却を可能とするタイプ、所定トルクでの取外しを可能とするタイプ、ボルト上の任意の中間位置で固定を実現したタイプ、ナット1個で緩み止めを実現しつつ逆回転を完全防止し分解・いたずら防止、バージン性を保証するタイプなど、多様な用途やニーズに対応できる豊富なバリエーションを取り揃えている。

衝撃振動ねじ緩み試験(社内設備)

ねじの緩み評価として、その厳しさが世界最高レベルとされているのが、NAS(米国航空宇宙規格)式の衝撃振動ねじ緩み試験である。
ボルト・ナットを所定のトルクで締付けた試験体に、ねじの軸と直角の上下方向に振動させることで衝撃荷重を加え、基準時間内での緩みの有無を確認する。
L/R ネジは、初期の小径試作品の評価において、この規格に準拠した評価試験を実施した。このとき、すべてのサンプルが評価基準の耐久時間を遥かに過ぎても緩むことはなかった。さらに、緩むまでの限界評価を試みた際には、試験装置が破損、停止してもサンプルは緩んでおらず、限界を確認できなかった。
そこで、NAS式試験規格を元に、より強い衝撃振動状態を模擬する試験装置を自社で設計、製作した。






L/Rネジ強度評価試験

引張強度試験(社内設備)

引張強度試験は、材料評価の最も基礎的な試験である。
ボルト、ナット形状の試験体のボルト頭及びナット部を軸方向に破断するまで引張り、その破断形態と最大荷重を評価した。(図3参照)
3種類の試験体(①L/RボルトHRC25、②L/RボルトHRC34③谷底径と同径の丸棒HRC25)は、S45Cの同チャージ材から製作。(図2参照)事前のFEM解析で予想されたとおり、全ての試験体は軸部分で破断し、破断部位や破断面は、いずれも互いに近似し、破断荷重のバラツキも非常に小さいものであることが確認された。
最大荷重は、下記荷重ー変位グラフに示すとおり、谷底径と同径の丸棒の試験体(③)と同等以上であり、ネジ山による強度低下はないことが確認された。
また、熱処理によって材料の強度を上げた試験体(②)では最大荷重も想定どおりの上昇が確認された。
以上により、
【1】L/Rネジは一般的なメートルねじ同様に、材料強度と呼び径により、ネジ強度の計算ができること、
【2】強度は谷底径同等外径の丸棒状母材同等以上であることが実証された。


N100(呼び径100mm)L/Rネジ引張強度試験による破断の瞬間を捉えたハイスピードカメラ映像

引張疲労強度試験(社内設備)



ねじ締付強度試験(社内設備)



採用されたのは L/R-ΔLoc(エルアールデルタロック)
今年、販売開始から35周年。累計出荷台数1億個を突破した腕時計史上唯一無二の鉄板ブランド「G-SHOCK」。
当時腕時計は「落としたら壊れる」が常識の中、数々の困難を乗り越えて到達し、実現されたのが独自の耐衝撃構造。タフの中核を担うテクノロジーの誕生である。いまや伝説として語り継がれるその生立ちは、同時にタフネスウォッチという新たな時計史の幕開けでもあった。時代を超え、常識を越え、タフネスの高みをG-SHOCKは追求し続ける。
そして、2018年10月発売の最上位モデル G-SHOCK MRG-G2000R-1AJR に、過酷な衝撃や振動でさえも緩むことのないネジ「L/R-ΔLoc」が搭載され、NejiLawも新次元の一歩を踏み出したのです。



開発ストーリー
腕時計にタフネスという新たな概念を築き上げたG-SHOCKが、更なる究極を求めて辿り着いたのが、弊社NejiLawでした。既に緩まないことを実現していたL/Rネジでしたが、そのハードルは過酷なものとなりました。素材・表面加工の限定はもちろん、ボルトのネジ部径わずか1.6mm。メンテナンス用に破壊することなしに外せる必要があることから、恒久的嵌合のラッチ構造を適用できないため、新たな発明が必要でした。そこで導き出したのは、弾塑性力学を応用した「Δ(デルタ)ロック」機構。道脇が生み出した新たなメカニズムです。

L/R-ΔLoc(デルタロック)の締結メカニズム
先に装着される左ねじの「Lナット」に造形された三角柱状のΔ(デルタ)部の3つの頂部が、後から装着される右ねじの「Rナット」の円筒部を塑性変形させます。L/R-ΔLoc(デルタロック)機構は、デルタ部の外周長と円筒部の内周長とがほぼ等しくなるよう「異形等周」に設定されています。この円筒部は、その変形が塑性域内になるように設計されており、デルタ部への嵌合時に円いモノを三角に沿わせ馴染ませつつ、残留弾性域で圧接されるように構成したことで、強靭なロッキング状態を保持することができるようになっています。これにより2つのナットは一体化され、L/Rボルトから抜け出すことができなくなるのです。
そもそも弾塑性力学とは
物体は外部からの力で変形しますが、変形したまま元の形状に戻らないのが塑性変形(永久変形)であり、これに対して変形しても外部からの力がなくなれば元の形状に戻るのが弾性変形です。「弾塑性力学」は、この異なる性質を合わせ考えたモノ。


About ZaLoc

ナットを使わない、完全締結。

ZaLoc(ザロック)は、頭部座面ロッキングラッチ付きZaLocボルトと、これと噛み合う座面ロッキングラッチ付きのZaLocワッシャーとで構成され、被締結体のタップねじ穴部に、ZaLocワッシャーを介してZaLocボルトを組み付けるだけで、摩擦力によらない完全締結を実現した。


原理
頭部座面ロッキングラッチ付きボルトと、 これと噛み合う上座面ロッキングラッチ付きの専用ワッシャと被締結体に対する相対回転を防止する構造を有して構成され、ワッシャを介してボルトを締め付けるだけで、摩擦力によらない完全締結を実現した。

効果
一般的な螺合ツール(スパナ、トルクレンチなど)1丁で従来同様に締結でき、機械構造的な締結による完全な緩み止めを実現できる。
また、取り外しの際には締結時以上の戻しトルクをかけることで取り外すこともできる。
被締結体に直接ロッキングラッチ加工を施す場合に比べて著しく低コストであり、ロッキングラッチが形くずれした場合にも容易かつ低コストで交換が可能である。


Coming Soon...