施工工期の短縮とコンパクト化を同時に実現した、画期的なシールドトンネル用RCセグメント向けの新型セグメント継手「JicLoc(ジクロック)及び ShuLoc(シューロック)」が完成しました。


製品の特長 JicLoc
セグメント構築時の位置誤差、姿勢誤差を吸収する誤差吸収機能を充実させながら、従来3t必要とされた結合荷重を0.03t程度に低減し、セグメントの組立性を向上させた上、誤接合時に取り外すことを可能とするロック解除機能も合せ持つ。


製品の特長 ShuLoc
従来、オス型継手とメス型継手の2種類で構成されていた継手を1種類にシンプル化。さらに従来の鋳造生産から鍛造生産への変更により、重量比で36%以上の小型化を図りながら、強度向上と量産性の向上を実現。


*1 シールドトンネルとは
シールド工法によって作られた高速道路・高速鉄道・下水道などのトンネル。シールドマシンと呼ばれる前端に回転刃を有する円筒状の装置でトンネルを掘り進め、マシン後方にセグメントと呼ばれるブロック状の外壁を接合しながら構築される。
*2 RC(鉄筋コンクリート)セグメントとは
シールド工法で用いる鉄筋コンクリート製のブロック状の壁面部材。個々のセグメントは、円筒を軸方向と周方向に分割した円弧ブロック形状で、予め工場で製造され、現場で互いに接合しながら組み立てられる。大きなものは、単体重量で10tを超えるものもある。
*3 セグメント継手とは
RCセグメント同士を緊結させる継手部材。締結後に緩まない強さ、超重量物であるセグメント及び周囲からトンネルにかかる荷重を支え耐える性能、締結作業の簡便さによる作業時間短縮、セグメント同士の位置や姿勢の誤差を吸収する機能などが求められる。




開発の背景
社会資本のうち道路橋は、全国73万橋あり、そのうち建設後50年以上経過する割合が、10年後には60%に達する(国土交通省発表資料による)。
そのため、東・中・⻄日本高速道路は、早急に大規模更新が必要とされている鉄筋コンクリート床版を用いた高速道路橋梁総延⻑約230kmに及び床版の取替について費用約1.65兆円の事業を計画している(NEXCO3社発表資料による)。
他方、現状の鉄筋コンクリート床版を用いた高速道路橋梁の施工方法は、予め工場で鉄筋コンクリート床版を製作し、現場に一定間隔を空けて配列した後に、当該間隔に「間詰めコンクリート」を打設することで床版同士を繋げるというものである。この作業には多くの人手や重機を要する上、床版の位置決め配列に膨大な時間を要している。例えば、床版を一定間隔ごとに配列する作業だけで1枚あたり30分以上を要するというのが現状である。

取替床版用新型継手「VanLoc」
「VanLoc」は,取替用プレキャストPC床版に用いる、現状避けられないと考えられて来た間詰めコンクリート打設を不要とする画期的な工法を実現し、床版連結と床版の位置ズレの矯正をボルト1本締めるだけの作業で完結できる革新的な継手です。


「VanLoc」の特長
・床版同士の間詰幅を極限まで小さくすることが可能で,間詰部の配筋およびコンクリート打設が不要となります。
・床版連結と床版の位置ズレの矯正をボルト1本締めるだけで行うため,床版設置に要する時間は数分となります。位置ズレの矯正は,橋軸方向,橋軸直角方向および鉛直方向の3方向に対して行うことが可能です。
・横断勾配の変化に対応するため,隣り合う床版の段差を「VanLoc」で吸収することが可能です。

「VanLoc」の開発状況
・製品としての開発は終了し,現在量産化に向けた開発に着手しております。